代表の吉川です。
菓一條 栄久堂吉宗では、茶人のお客様からお題を頂き、そのお題にちなんだ上生菓子のご注文を頂く事が御座います。
先日、『絵馬』にちなんだ上生菓子をご注文頂きました。
絵馬と言えば、初詣とかで神社とかで売っていたり、願い事を書き込んだ絵馬を奉納していたりするアレです。
絵馬の上生菓子は、昔からだいたい上用饅頭に絵馬の焼き印が普通ですよね。
上用饅頭に焼き印なんて、ありきたりでしたから悩んでいたのですが....
そんなご注文を頂き悩んでいた時に...なんと~!
和菓子工房の作業場に西宮神社さんに奉納したお礼で届いた絵馬が箱入りで目の前に有ったんです。
ちなみにこの絵馬は、西宮神社さんに和菓子を奉納しているお礼みたいな物で毎年、ありがたく頂いております。
それも、絵馬の和菓子をご注文を頂く2日前に届いたからびっくりです。
まるで恵比寿様が、『和菓子職人よ、この絵馬を参考にするとよいぞ。』
と言われているような偶然の出来事にてびっくりでした。
絵馬をよく見ると十数年前、先代から絵馬の屋根の向きが決まっている事を聞いたと記憶が御座いました。
どうしてこの形なのか?この歳になって疑問が?
改めてこの事を知りたくなり調べて見ました。
これは、屋根と入口の関係で平入や妻入とが関係してきます。
平入(ひらいり)とは、日本の伝統建築において、建物屋根の「棟(むね)」に対して直角に切り下ろした側を「妻(つま)」、
棟と並行する側を「平(ひら)」とした場合、平入とは建物の出入口がこの「平」にあるものをさす。
と書かれていました。
上の画像、適当に書いたので図は、イマイチですがこう言う事です。
しかし...絵馬の屋根、なぜ右が上なのかまだわかりませんから、さらに調べました。
私は、屋根の下の木材を組む決まりか何か有ると思ったのですが違いました。
実は、絵馬の屋根で右が上なのは、文字が関係していたんです。
絵馬の右の屋根が上なのは、平入、妻入の『入』でした。
と言う事は、入の方が絵馬の表と言う事になります。
なんだか和菓子ブログがレポートみたいになってきましたよ~。(^_^;)
では、今回制作する絵馬の上生菓子は、この特徴を是非取り入れたいですね。
よく有る上用饅頭に焼き印では、この特徴を出す事が出来ませんから練り切りでしょうか?
この絵馬の木材の色合いも自然に表現したかったので栗きんとん餡(当店は、生栗から作ります。)で製作する事に。
九州産生栗がなぜこの時期に手に入るのか? それは、企業秘密で御座いますが
ただ言える事は、製菓材料の冷凍栗きんとんペーストは、使っておりません。
生栗を蒸して中身だけ取り出し裏ごしして砂糖と一緒に炊きます。 ←栗きんとんは、手間かかるんですよ~!
屋根部分を載せるので無く三角ベラや平面の板だけで丸い状態からこの形にしてみました。 ←ここは、本業ですからこれくらいは、出来ないと和菓子職人を語れない。
上生菓子 『絵馬』 栗きんとん
栗きんとんですと絵馬の屋根が表現出来て、何より食べて美味しいです。(^o^)
焼き印は、焼いて押すの出なく、そのまま押して後から栗きんとん餡に相性が良いシナモンで猪に色を付けると
ほのかにシナモンの味と香りがしてこれまた新鮮。
やはり本物を見て上生菓子を制作すると良いアイデアが出て来ると思う次第で絵馬の屋根も勉強できました。(^o^)
その後、お客様からお礼のメールを頂き、皆さんに喜んで頂けたらしいので和菓子職人として嬉しく思う次第です。
とおかし奉納した時に撮った写真。
『西宮神社の恵比寿様、良いヒントを与えて頂き ありがとう御座いました。』
ちなみに西宮神社の本殿三連春日造なので平入か妻入なのかよくわかりませんが写真の参拝者がよく見る拝殿は、平入ですね。
恵比寿様、今年も『とおかし』でお世話になりますのでよろしくお願いします。
そして絵馬の上生菓子をご注文頂きましてありがとう御座いました。
菓一條 栄久堂吉宗
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